神田町の6ユニット / 6 Units in Kandamachi

ユニットによる既存ストックへの解答

飛騨高山の伝統的建造物保存地区からほど近くの住宅街に建つ、築72年の古民家の改修計画である。戦後間もない頃に建てられたためか、江戸〜明治時代に建てられた同地域の古民家と比較すると、梁などの構造材は材寸が小さいものが多く、数cm垂れている大梁も見受けられた。また間取りも、主室に日差しが届きにくく、内部空間は年中暗い状態であった。しかしながら住宅全体に構造・断熱補強を施すとなると、壁床天井などの施工面積は大きくなり、簡単に工事予算を超えてしまう。

そこでそれぞれの機能をもった6つのスペースユニットを住宅各所へ配置していくことで、部分部分で家屋の歪みを是正しながら構造を補強、断熱的にも冬の暖房範囲を限定することで、快適性と効率性を獲得した。それぞれのユニットの属性は、1:板倉工法を参照した「水回りユニット」、2:夏は太陽熱、冬は薪ボイラーにより床暖房や風呂の給湯を賄う、焼スギを纏った「エネルギーユニット」、3:左官仕上げの「キッチンユニット」、4:下地材である木ずりを外装に使用した2層の「客室・書斎ユニット」、5:外壁にポリカーボネート、内壁に既存障子建具を使用した「納戸ユニット」、6:間伐材の無垢の組積造である「寝室ユニット」といった具合に、さまざまな材料や工法を意図的に試行している。古民家物件を扱う不動産屋から聞いた話では、都会からの移住希望者が、予想以上に膨れ上がったリフォーム業者からの見積書を見て、移住を諦めてしまうことが度々あるとのことだ。この住宅で試みたユニットによる適材適所の部分改修の考え方は、空家問題のひとつの打開策として今後も展開していきたいと思っている。

所在地:岐阜県高山市
主要用途:専用住宅
2023. 12 竣工
敷地面積:294.35 m²
建築面積:169.28 m²
延床面積:186.84 m²
規模:地上2階
主体構造:木造在来工法

Location: Takayama-city, Gifu, Japan
Function: House
2023. 12 Completion
Site Area: 294.35 m²
Building Area: 169.28 m²
Total Floor Area: 186.84 m²
Stories: 2
Structure: Wooden

構造:車戸設計
施工:こうこう舎

(photo: Tomoyuki Kusunose)

・新建築住宅特集 2024年4月号 掲載 [link]

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