道の駅 若狭美浜 はまびより / WAKASAMIHAMA HAMABIYORI

地域を繋ぎ直す町のような道の駅

 福井県美浜町はリアス式海岸の若狭湾東端に位置する町であり、北陸新幹線が開業した東隣の敦賀と、名所である西側の三方五湖をつなぐ東西軸上の主要施設として本道の駅はJR美浜駅前に計画された。求められた用途としては、農産直売所・カフェ・レストラン・子育て支援施設・スタジオ・コワーキングスペースなど多岐に渡り、南隣のいちご農園とも一体的に利用されるなど、観光拠点としてだけでなく、地域住民の日常的な利用も期待されていた。
 現地を訪れると、古くからの集落や若狭湾岸の漁港には昔ながらの木造家屋が建ち並び、海と山に挟まれた小さな町らしく、ゆったりとした住民の暮らしぶりが見て取れた。それに対して東西を貫く国道沿いには、コンビニ・ドラッグストアなどのいわゆる箱型ロードサイド店舗が並び、歩行者もほとんどなく少し味気ない印象を持つ。
 そこで、要求された屋根付の公共空間を分散させ、用途や使われ方に応じた大小様々なスケールの屋根を大らかに重ね合わせるように架けることで、人々が立ち寄りやすく開かれた屋根下空間を創出した。それら分割配置した屋根の隙間から光や風を取り込むことで、人々に心地良い半屋外空間を提供する。また、敷地東側の駅前通りに沿って「海の広場」・「芝生広場」を配置し、それらの外部空間を屋根下へ引き込むようにつなげることで、訪れる人々が自然に内部へ導かれる。建物中央を貫くスパン8mの大屋根下の「中央広場」は、駅ロータリーに面した「海の広場」と一体的利用ができ、イベント会場としても利用可能である。また、ここを介して主要諸室にアクセスできるため全体の空間構成が把握しやすく、わかりやすい動線計画となる。1階外周部の「えんがわテラス」は施設へのアプローチ・カフェの半屋外空間であり、2階の「多目的テラス」からは周辺の山並みを見渡せる。屋上階の「ルーフトップテラス」からは若狭湾を一望でき、有事の際は津波から避難するための防災施設としても機能する。
 構造形式には周辺の木造家屋を参照した4mグリッドを基準とした鉄骨造を採用することにより、身体スケールにより近い空間体験を提供すると共に、部材寸法を落としコストメリットにも配慮した。
 遠方からの訪問者・日常使いの高校生やお年寄りなどの地域住民が織り混ざり、活動や文化が交差する町のような道の駅がつくる風景が、この結節点に新たな息吹を吹き込むことを期待している。

所在地:福井県美浜町
主要用途:地域づくり拠点施設
(農林水産物直売所・飲食施設・子育て支援施設 etc.)
2023年06月 竣工
敷地面積:12,000 m²
延床面積:2,300 m²
規模:地上2階
主体構造:鉄骨造 一部 木造

Location: Fukui, Japan
Function: Community center (Shop, Restaurant & Café, Child care support center etc.)
2023. 06 Completion
Site Area: 12,000 m²
Total Floor Area: 2,300 m²
Stories: 2
Structure: Steel partly Wooden

意匠設計:三橋設計+澤秀俊設計環境
構造設計:木下洋介構造計画
設備設計:環境エンジニアリング
外構設計:オオツランドスケープデザイン
施工:技建工業

(photo: Tomoyuki Kusunose)

道の駅 若狭美浜 はまびより 公式サイト
道の駅 紹介動画(Youtubeチャンネル 道の駅兄弟)
Yahoo! ニュース

・グッドデザイン賞2024 受賞 [link]

・商店建築 2023年12月号 掲載 [link]
・近代建築 2023年8月号 掲載
・新建築 2024年12月号 掲載 [link]

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